効率を上げるのが幸せか、これからの生き方を考える ― 2013/08/27 21:18
今日の朝日新聞朝刊オピニオン欄は「耕論 時間を取り戻す」である。
東工大教授の本川達雄さんが「「異常な速さ」まず認識を」、フリーライターの大宮冬洋さんが「毎日が祭りの街は疲れる」、作家の久木綾子さんが「深夜の執筆、無限を味わう」という見出しで「時間を取り戻す」ことを論じている。
彼らの話しの趣旨は見出しが良く説明している。この中で私は本川さんの話しに示唆を受けることが多かった。大宮さんの話しは東京暮らしと愛知県・蒲郡の時間の早さの違いの話しだ。久木さんの話しは、見出しそのものである。
本川さんの話しは示唆される内容が多くて要約するのが難しいので、長文になりますが、ごく一部を抜き書きします。
「現代人というのは、エネルギーを大量に消費することで時間を買い取っているんだと思います。たとえば飛行機は、燃料をたくさん使って短い時間で遠くまで移動できる。(略)つまり、エネルギーをたくさん使えば使うほど時間の流れが速くなる。この時間競争が、いま世界で起きています。(略)物理的には同じ1時間でも、工夫次第で2、3時間分にもなります。まずは、時間の無駄をなくす。パソコンや機械を使って中身を詰め込む。エネルギーを大量に使って、時間を速めているのです。(略)効率化を求める近代文明は、主役がモノから情報に移ったことでスピードに歯止めがかからなくなってしまった。だから「24時間、戦えますか」という空気が再び生まれたのです。こんなこと、対応できるのは機械だけですよ。人間の体では無理です。脳みそだけならまだしも、体は悲鳴を上げる。極限まで働かせるブラック企業では、耐えられなくなる若者の方が普通だと思いますよ。ただ、世界で勝ち続けるには、私たちは猛烈な速さで進む時間を耐え忍ぶしかないのかも知れません。だからせめて、自分は異常に速い時間の中で生きているんだ、ということを早く認識した方がいい。(略)でも本当は、もう勝たなくてもいいんじゃないかと思うんですよ。資源もない、つまりエネルギーのない小さな島国なのですから、ほどほどに生きていった方がよくはないかと。私たちは医療や介護にも大量のエネルギーを投下し、長寿化を実現しました。(略)もはや生物というより、べらぼうなエネルギーと技術が生み出した「人工生命体」ですよ。(略)せっかく手に入れた老年です。定年を迎えたら、バンザイと叫んで生き方を改めませんか。年をとり、エネルギー消費が落ちたゆっくりな時間の中では、ゆっくりな生き方があるはず。本来の自分の体のリズムで生きていきたいものです。」
余りに納得することが多いもので、かなりの部分をタイプしてしまいました。
偶然ですが、大宮さんの話の中に極限まで働かせる企業の話しが出てました。
大宮さんは卒業してすぐにユニクロに入社したのですが、お店は効率化のためにあらゆる業務を人数×時間で計画していたので、体力的についていけず、3ヵ月で体重が15キロほども減ったという。結局、辞めて編集の仕事に携わったら時計など気にせずともあっという間に時間が過ぎるようになったという。
本川さんの話で示唆されたのは、
「世界との戦いで勝ち続けなくてもいいんではないか」、ということ。そして、「年をとったら本来の自分の体のリズムで生きるべきである」、ということである。
われわれは効率化を求めすぎあまり、何か失ってしまっているような気がします。それは、一言で言って「精神的な幸せ」でもあるし、「他者への思いやり」でもあると思います。
そう思っても、未だ効率化を求めてあくせくしていますが、できる限り「精神的な幸せ」と「他者への思いやり」を追究していくつもりです。
東工大教授の本川達雄さんが「「異常な速さ」まず認識を」、フリーライターの大宮冬洋さんが「毎日が祭りの街は疲れる」、作家の久木綾子さんが「深夜の執筆、無限を味わう」という見出しで「時間を取り戻す」ことを論じている。
彼らの話しの趣旨は見出しが良く説明している。この中で私は本川さんの話しに示唆を受けることが多かった。大宮さんの話しは東京暮らしと愛知県・蒲郡の時間の早さの違いの話しだ。久木さんの話しは、見出しそのものである。
本川さんの話しは示唆される内容が多くて要約するのが難しいので、長文になりますが、ごく一部を抜き書きします。
「現代人というのは、エネルギーを大量に消費することで時間を買い取っているんだと思います。たとえば飛行機は、燃料をたくさん使って短い時間で遠くまで移動できる。(略)つまり、エネルギーをたくさん使えば使うほど時間の流れが速くなる。この時間競争が、いま世界で起きています。(略)物理的には同じ1時間でも、工夫次第で2、3時間分にもなります。まずは、時間の無駄をなくす。パソコンや機械を使って中身を詰め込む。エネルギーを大量に使って、時間を速めているのです。(略)効率化を求める近代文明は、主役がモノから情報に移ったことでスピードに歯止めがかからなくなってしまった。だから「24時間、戦えますか」という空気が再び生まれたのです。こんなこと、対応できるのは機械だけですよ。人間の体では無理です。脳みそだけならまだしも、体は悲鳴を上げる。極限まで働かせるブラック企業では、耐えられなくなる若者の方が普通だと思いますよ。ただ、世界で勝ち続けるには、私たちは猛烈な速さで進む時間を耐え忍ぶしかないのかも知れません。だからせめて、自分は異常に速い時間の中で生きているんだ、ということを早く認識した方がいい。(略)でも本当は、もう勝たなくてもいいんじゃないかと思うんですよ。資源もない、つまりエネルギーのない小さな島国なのですから、ほどほどに生きていった方がよくはないかと。私たちは医療や介護にも大量のエネルギーを投下し、長寿化を実現しました。(略)もはや生物というより、べらぼうなエネルギーと技術が生み出した「人工生命体」ですよ。(略)せっかく手に入れた老年です。定年を迎えたら、バンザイと叫んで生き方を改めませんか。年をとり、エネルギー消費が落ちたゆっくりな時間の中では、ゆっくりな生き方があるはず。本来の自分の体のリズムで生きていきたいものです。」
余りに納得することが多いもので、かなりの部分をタイプしてしまいました。
偶然ですが、大宮さんの話の中に極限まで働かせる企業の話しが出てました。
大宮さんは卒業してすぐにユニクロに入社したのですが、お店は効率化のためにあらゆる業務を人数×時間で計画していたので、体力的についていけず、3ヵ月で体重が15キロほども減ったという。結局、辞めて編集の仕事に携わったら時計など気にせずともあっという間に時間が過ぎるようになったという。
本川さんの話で示唆されたのは、
「世界との戦いで勝ち続けなくてもいいんではないか」、ということ。そして、「年をとったら本来の自分の体のリズムで生きるべきである」、ということである。
われわれは効率化を求めすぎあまり、何か失ってしまっているような気がします。それは、一言で言って「精神的な幸せ」でもあるし、「他者への思いやり」でもあると思います。
そう思っても、未だ効率化を求めてあくせくしていますが、できる限り「精神的な幸せ」と「他者への思いやり」を追究していくつもりです。
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